JAPAN LIVE YELL project

REPORT

PROJECTレポート

撮影:山地憲太

SPECIAL LIVE

ライブを愛するすべての人へ贈る
オンライン番組「THEハレ舞台」


「JAPAN LIVE YELL project」と
「みんなの応援村」がタイアップし
松任谷由実さん、松任谷正隆さん、
小山薫堂さん、中井美穂さん
そして全国のみなさんのエールが凝縮された
見たことのない切り口のSPECIAL LIVE番組。

ライブを守る人々と、
そこに秘められたストーリーの数々。
普段表には出にくい大切なことを、
この番組にたくさん集めました。
最後までお見逃しなく!

MOVIE

「THE ハレ舞台」紹介動画はこちら

CAST

出演

「JAPAN LIVE YELL project」エール・アンバサダー
「みんなの応援村」応援団員
松任谷 由実 様

「みんなの応援村」実行委員
松任谷 正隆 様
小山 薫堂 様
中井 美穂 様

ライブ出演 (出演順)

埼玉県立杉戸高等学校ダンス部/くまモンダンス部
武部 聡志 様(Key.) /⼩⽥原 豊 様(Dr.) /浜崎 賢太 様(Ba.) /遠⼭ 哲朗 様(Gt.) /今井 マサキ 様(Cho.) /佐々⽊ 詩織 様(Cho.)

STAFF

舞台制作・映像制作

[企画協力]有限会社雲母社様
[構成・脚本]N35インターナショナル株式会社様

[ステージ制作]株式会社シミズオクト様/株式会社クリエイト大阪様/株式会社大井電気様/株式会社NUGGETS様
[音響]株式会社 エス・シー・アライアンス様
[照明]株式会社林オフィス様
[トランスポート]株式会社サンプラント
[撮影・編集]株式会社フジパシフィックミュージック様
[撮影・編集・番組制作]株式会社ツール・ド様
[音楽]株式会社ハーフトーンミュージック様
[楽器]株式会社チームアクティブ
[映像制作]株式会社ファイブエス
[会場]昭和音楽大学 テアトロ・ジーリオ・ショウワ様

SPECIAL THANKS

インタビュー・映像出演

[北海道]札幌演劇シーズン2021-冬 優しい乱暴
インタビュー:プログラムディレクター 斎藤歩様((公財)北海道演劇財団)/出演:劇団コヨーテ様

[岩手県]オーケストラ×ダンス ベートーヴェン交響曲第5番「運命」を踊る
インタビュー:公演プロデューサー 坂田雄平様(NPO法人いわてアートサポートセンター)/出演:森下真樹様、いわて フィルハーモニー・オーケストラ様、日本フィルハーモニー交響楽団様

[東京都]新富座こども歌舞伎 錦秋特別公演
インタビュー:新富座こども歌舞伎代表 諸河文子様/出演:新富座こども歌舞伎様

[秋田県]あきた伝統芸能フェスティバル
インタビュー:ジャパン・ライブエール・プロジェクト in あきた実行委員会 事務局長 富橋信孝様((株)スペースプロジェクト)、釜ヶ台番楽 佐藤渓輔様、本海獅子舞番楽平根講中様、根子番楽 会長 佐藤昭夫様、佐藤頼秋様/出演:あきた伝統芸能フェスティバル出演の皆様

[広島県]広島ピースメモリアルフェスティバル2020
インタビュー:公演プロデューサー 荻原忠浩様((株)オギハラ音楽企画)、広島ウインドオーケストラ音楽監督 下野竜也様/出演:ジュニアウインドオーケストラ広島様、広島ウインドオーケストラ様

[熊本県]令和2豪雨災害 復興祈念 復興文化祭、むしゃんよかバンド決定戦
インタビュー:復興文化祭イベント制作・放送 高津 孝幸様((株)テレビ熊本)、むしゃんよかバンド決定戦イベント制作 開田章斗 様 (熊本市)/出演:復興文化祭出演の皆様、むしゃんよかバンド決定戦出演の皆様

[長崎県]「蝶々夫人名曲集&長崎のウタ」コンサート
インタビュー:長崎居留地ドレミファンタジー 団長 桐野耕一様、指揮者 原さとみ様/出演:長崎OMURA室内合奏団様、長崎居留地ドレミファンタジー様

[宮崎県]宮崎県みやざきバレエまつり マーシャの夢-くるみ割り人形版-
インタビュー:演出・振付 福成里美様(Satomi Ballet Classic)/出演:「マーシャの夢 -くるみ割り人形版-」出演の皆様

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PROJECT
REPORT LIVEが戻ってきた!

2020年8月~2021年3月まで、全国27都道府県で展開されたJAPAN LIVE YELL project。新型コロナウイルスの感染拡大により、生きる糧を奪われた芸術家やスタッフ、表現の場を奪われたアマチュアや子供たちを、イベントの開催を通して応援する緊急プロジェクトです。

10か月ぶりに舞台に立ったというアーティスト、4月に入社して初めての現場が11月という音響スタッフ、今年最初で最後の発表という高校3年生。様々な人々が想いを寄せ、「何としても生の舞台を届けるんだ」と奮起。感染拡大に注意しながら、工夫を凝らして実現されたイベントは500以上にのぼります。

©️吉田健太郎

これまでの“あたりまえ”が困難になったからこそ見えてきたものがあります。東京からアーティストを呼べない状況は、地域の人材や文化資源の再発見つながりました。換気を考慮し屋外に移した様々なステージパフォーマンスは、まちづくりを見つめなおすきっかけにも。地域に根ざした芸能の再開によって、世代を超えた交流を促すライブの力にあらためて気づくことにもなりました。そして何より、「生きている実感」そのものである、ライブの尊さも。

「音楽家としての生きる道を見つけることができた。」「久しぶりに生の舞台を見て、本当はずっと心が乾いていたんだって、気づきました。」全国からたくさんの声が届いています。芸術家、子供たち、観客が出会い、交わされたエールは、コロナ禍という誰もが初めて経験する日常において、多くの人々を勇気づけただけでなく、文化の未来をひらく力にもなっていくことでしょう。ここでは、各地で生まれた笑顔と希望の数々をご紹介します。

27地域からの声

  • 北海道

  • 岩手県

    ©️吉田健太郎
  • 秋田県

  • 山形県

  • 埼玉県

    photo:加藤英弘
  • 東京都

  • 神奈川県

    画像上/福島三部作 第二部『1986年:メビウスの輪』
    撮影:前澤秀登
  • 新潟県

    鼓童提供
  • 石川県

  • 長野県

    撮影:山田毅
  • 愛知県

  • 京都府

    撮影:山地憲太
  • 大阪府

  • 兵庫県

  • 奈良県

  • 和歌山県

    写真:タカハシアキラ
  • 鳥取県

  • 島根県

    創作舞台「芸能開闢古事記」より
  • 広島県

  • 愛媛県

  • 高知県

    撮影:釣井泰輔
  • 福岡県

  • 長崎県

  • 熊本県

  • 大分県

    TAO文化振興財団 提供
  • 宮崎県

  • 沖縄県

子どもたちの瞳が教えてくれる

北海道は寒さの訪れとともに感染者が急増し、いくつもの公演が中止になったり、出演団体が辞退をするなど、計画変更に追われました。その中でも、本番の3日前に、公演会場の舞台スタッフがコロナに感染する事態が発生しました。館内消毒などの対応がなされ、保健所や教育委員会は開催可能と判断。不安であろう出演団体に予定通り開催をするか確認したところ、「国や北海道や札幌市が『やるな』と言わない限りは、絶対にやります」と力強い答えが。聞けば、その出演団体の代表も夏にようやくオペラを観ることができた時、生の舞台に勝るものはない、と身に沁みて感じたそうです。だから今度は、子どもたちに生の舞台を届けたい。信念を持っての開催でした。

目に焼き付いているのは、なんとか実現した「雪のステージ」に来てくれた子どもたちの、爛々とした瞳の輝きです。さっぽろ雪まつりの中止にがっかりしていた子どもたちがたくさん来てくれて、ジャグリングや太鼓、普段は興味を持たないかもしれない人形浄瑠璃なども飽きずに見てくれました。子どもたちが夢中になって舞台を見つめる姿はとても感動的で、スタッフは子どもたちからたくさんの元気をもらいました。南向きの雪像ステージは1日経つと溶けてしまうのですが、翌朝の補修作業にも力が入りました。

最初の緊急事態宣言の時は、早く日常に戻りたいと思っていました。でも今思うのは、文化にも効率性や経済性を求め過ぎていた以前の日常には、戻ってはいけないということ。芸術や文化は、即効性のある風邪薬にもなれますが、毎日飲むからこそじんわり効いてくる漢方薬でもあるはず。大切なのは双方のバランスではないでしょうか。

取材協力

さっぽろボーダレスライブアーツキャラバン 事務局
株式会社ノヴェロ
三上 敦 様

驚きを生む挑戦を、希望に変えて

オーケストラ×ダンスのコラボレーション。「ベートーヴェン交響曲第5番『運命』を踊る」には、新しい扉をノックする「挑戦」という意味が込められました。今年は東日本大震災から10年です。プロデューサーの坂田雄平さんは「日本フィルハーモニー交響楽団は被災地を約300回にわたって訪れており、いわてフィルハーモニー・オーケストラも震災からの復興をきっかけに形成された団体です。このタイミングだからこそ、両者の共演の機会を持ちたかった。そしてダンスとコラボするという挑戦的な試みを地域から創造・発信することで、次の10年に歩み出すための、一つの希望にしたかった」と作品に込めた想いを語ります。

オープニングでは、指揮者の寺崎巖さんもダンスに挑戦。オーケストラはステージ上に並び、その前でダンサーの森下真樹さんが躍動しました。森下さん自身、オーケストラの生演奏で「運命」の4楽章のすべてを踊るのは初めてでした。
「お客様はいろいろな意味で驚かれたと思います。価値観が揺らいだり、新たな視点で物を見ることになったり…。まさにそこが芸術文化の豊かさだと思います。」

公演は、首都圏への新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言発出の前夜のこと。本番を迎えるまで不安は拭えませんでしたが、それでも出演者・スタッフともに「挑戦」への思いを絶やすことなく、一丸となって、岩手の新たな芸術文化の扉を開きました。

©鈴木竜一郎

取材協力

「ベートーヴェン交響曲第5番『運命』を踊る」プロデューサー
坂田 雄平 様 

写真と書道の独創的な融合

芸術パフォーマンスにおいてコラボレーションは、もはや当たり前。しかし見ている者の想像力を掻き立てる「写」と「書」、展示物同士のコラボレーションは独創的です。

市民もハッとするような美しさ、知られざる秋田の風景を切り取った1,100点を超える作品が集まり、中から入賞の「写」が選ばれました。その作品から得られるインスピレーションを書道部の高校生が「書」にしたため、画と言葉の融合を図っています。

優秀賞3点の「写」に結合させる「書」は、書道パフォーマンスでの披露。3つの高校書道部の生徒が、アップテンポの曲に乗って大きな紙に書き上げました。実行委員会の富橋信孝さんは「初めてでしたが画期的で面白い試みになりました。パフォーマンスも記憶に残るイベントになったと思います」と振り返ります。

実は、書道パフォーマンス当日の秋田は記録的な大雪に見舞われ、市街は大混乱に陥りました。開催自体も危ぶまれましたが、パフォーマンスの大会もこの1年ほとんど行われず、この日を目標に練習を重ねてきた書道部員たちは、何とか会場にたどり着き公演を成功させました。

秋田は現代舞踊・舞踏の先駆けであり、演劇なども深く浸透している土地。他と同様、コロナ禍で喘ぐ県内の文化芸術ですが、反攻ののろしを上げるのも遠い先ではないでしょう。富橋さんも「2022年に秋田芸術劇場もオープンするので、このプロジェクトを今後に繋げていきたい」と話しています。

取材協力

『ジャパン・ライブエール・プロジェクト in あきた』実行委員会 事務局長
富橋 信孝 様

文化芸術の力で街を回遊。

新型コロナウイルスの影響で日常が崩れてしまった今、地域の団体・施設・人々と連携し、それぞれの特色ある活動をつないだ山形ならではの文化芸術を発信する場として『やまがた文化の回廊フェスティバル』を開催しました。

歴史と文化があふれる山形を歩いて、見て触れて感じていただくことを目指し、その接点となるさまざまなイベントを企画しました。プロ・アマチュアが入り混じるオーケストラや吹奏楽のコンサート、障がいのある方も一緒に楽しめるワークショップ、誰でも自由に演奏できるストリートピアノの設置、街なかを実際に歩きながら参加する謎解きイベントなど、ジャンルも参加者層も多岐にわたります。

また、リアルとデジタルをつなぐ新たな試みとして、YouTuberピアニストとしても人気のジェイコブ・コーラーさんを招き、軽トラックに積んだピアノと一緒に県内の観光スポットを巡って演奏する動画を撮影・配信しました。フェスティバルの盛り上がり作りと山形県の観光PRを狙ったこの企画は、私たちにとっても大きな成果と知見になったと思います。

フェスティバルの準備を進めるなかで特に心強かったのは、地域に根付いた活動を長く続けている山形交響楽団の存在です。企画立案の段階からタッグを組んだことで、一流アーティストからアマチュアまで幅広い層が参加するイベントを実現できました。また、地元商店街やサッカーチームなど多くの方にも賛同いただき、フェスティバルに参加していただけました。新型コロナによって活動が停滞していた状況を打破しようと、この企画に期待を寄せていただいたからだと思います。

今回生まれたつながりを広げ、豊かな文化を育んできた山形の独自性を活かしながら、さらなる街の活性化を実現していきたいですね。

取材協力

やまぎん県民ホール事業マネージャー
猿川 尚 様

音楽を体で楽しむ子どもたちの笑顔

コロナ禍でどこにも行けず我慢している子どもたちに向け、昨年11月23日に「さいたまアート・フェスタ ファミリーコンサート Hello! オーケストラ」を埼玉会館で開催しました。あれこれ心配しても、子どもたちに来てもらい生の音楽を届けなければ始まらない!と大きく背中を押してくれたのは、このプロジェクトに他なりません。新日本フィルのスケジュールが空いていたことも驚きでしたが、恐る恐る教育委員会に話を持ち掛け、各学校に告知をしたとたんに2回公演の計2,000枚のチケットがあっという間に完売。これは嬉しい誤算でした。また、来場が難しい方に向けて、ライブ配信にもチャレンジしました。

お客様の安全のため検温、消毒、動線規制、換気など感染症対策には念を入れました。そのためか開演前の子どもたちの表情は硬く、緊張感が漂っていました。演奏が始まり、なじみのあるクラシック音楽やジブリの曲などで少しずつ和んできましたが、一変したのはアンコールです。新日本フィルの十八番ともいえる「パプリカ」を奏でるや否や、子どもたちが体を動かし大きな手拍子でのってくれて場が大いに弾けました。この瞬間は本当に忘れられません。指揮者を務めた石川星太郎さんも「大勢の前で振るのが1年ぶりで興奮しました!」と演奏できたことと予想以上の子どもたちの反応に喜んでいました。コンサートが終了し、親子でニコニコした表情で幸せそうに帰る姿は今でも目に焼きついています。

取材協力

さいたまアート・フェスタ実行委員会事務局長
渡辺 弘 様

子どもたちの熱演で、街に活気を

歌舞伎座のお膝元である中央区の子どもたちが、歌舞伎を演じる「新富座こども歌舞伎」。滋賀県長浜の子ども歌舞伎に感銘を受け、歌舞伎と縁の深い新富町でもその歴史を後世につなげていきたいという思いでスタートしました。今年で14年目を迎えます。

感染症対策を行いながら稽古を重ねて迎えた錦秋特別公演当日、やはり感染拡大防止のため、会場にいるのは関係者のみ。しかし子どもたちが事前に「お客さんがいなくてもそこにいるようなつもりで演じる」と抱負を語っていたとおり、熱気あふれる素晴らしい公演となりました。初めて試みたライブストリーミングでは、多くのお客様にご覧いただき、毎年楽しみにしてくださっている方がたくさんいるのだと、改めて感じました。

このようなときだからこそ、力を合わせて舞台を実現させることの意義、そしてこの町ならではの伝統芸能を楽しみながら伝えていく喜びを改めて実感しました。庶民の暮らしの文化として愛されてきた歌舞伎の面白さ、奥深さはどんなときでも私たちを勇気づけてくれます。

真剣に、そして楽しんで稽古を重ねた子どもたちの熱演には、世代を超えた人々をひとつにする力があります。これからもその力が、町の活気につながっていくことを心から願っています。

取材協力

新富座子ども歌舞伎の会 代表
諸河 文子 様

困難を乗り越えてつないだ芸術のリレー

「厳しい状況ですが、人間ができることはたくさんあるなと思いました。」丸岡さんの言葉に表れているように、今回神奈川県では、横浜赤レンガ倉庫1号館の「ダンス」、神奈川県民ホールの「音楽」、そして国際舞台芸術交流センター(PARC)の「演劇」が手を取り合い、10月から2月にかけて、困難を乗り越えた芸術復興のリレーが実現しました。

スタートを切った横浜赤レンガ倉庫1号館では、「プロ・アマ、障害の有無を超えて、たくさんの人を巻き込めるものを作りたい」と、小野さんは総勢300人が参加する『青空ダンス』を企画。感染対策マニュアルは何度も更新し、「密」を避けるため広報も様々な工夫をして行いました。その結果、リアルと配信を合わせて6,500人が楽しむ踊る喜びに満ちたイベントになりました。

年の瀬には、県民ホールで『ファミリーコンサート(ワークショップとステージ見学付)』を実施。安心して参加してもらうため家族の席をどう配置するかにも苦心しましたが、久しぶりに親子がゆっくり音楽を楽しんでいる姿を見て、熊井さんは「家族みんなで来られるこの時期にやってよかった」と振り返ります。

緊急事態宣言下の2月、PARCが予定していた『福島三部作』は、実施できるか難しい判断を迫られました。でも東日本大震災から10年目、「演劇でしか語り得ない物語を、今何としてもやる」と演出家や役者たちも奮起。急遽無観客にして、カメラ20台を入れたオンライン配信も決行。劇場での観客も含めると26か国から約2,800人が鑑賞しました。丸岡さんは「新しい可能性も見いだせたが、しかしライブの醍醐味には代えがたい」と、これからを見つめます。

取材協力

横浜赤レンガ倉庫1号館 館長
小野 晋司 様

神奈川県民ホール 事業課 制作統括
熊井 一記 様

撮影:前澤秀登

国際舞台芸術ミーティング in 横浜 ディレクター
丸岡 ひろみ 様

繋がり循環する命の響き。

太鼓芸能集団「鼓童」も欧州ツアー中断などコロナ禍で活動が制限されていましたが、今回はエールを交換できる方々とご一緒したいとの思いから、新潟中越地震から16年目となる10月23日に長岡市山古志地区で『牛の角突き 中越地震復興場所 鼓童特別公演』を実施しました。

国の重要無形民俗文化財に指定される「牛の角突き」は観光を資源に成り立っていますが、コロナ禍で開催が制限され、お客様の減少にみまわれる中、配信などで闘牛の魅力を伝える作業をされてきました。当日は雨天のために闘牛場での演奏はできませんでしたが、山古志小学校全校生徒による「闘牛太鼓」との共演や、小学生の時に避難先の学校で体験した鼓童の演奏に感激して太鼓を始めた地元出身の青年も演奏に参加するなどの交流も行いました。

牛は闘牛の使命を終えた後、解体され、丁寧になめされた革が新たな役割を担いますが、その中のものが太鼓の革になることがあるそうです。目の前の大事に育てられている牛と太鼓の循環や繋がりに山古志の人達の気持ちを改めて感じる機会にもなりました。また今回は鼓童の中では若手中心の編成で伺い、中越地震を知らない世代にも、地震のことや闘牛も伝えていく機会にしたいと思いました。

新潟県内は稲作農業が根付いていて、五穀豊穣や厄払いに笛太鼓で集落を回りみんなの祈りが重なっていく祭り文化が残っているためか「懐かしい。癒された。元気がでた!この地域からはコロナでてないよ!」等の感想を聞いて、気持ちが免疫を高める事もあるのかなと、生で伝える有り難さを実感した祈念公演でした。

取材協力

鼓童/株式会社 北前船
後藤 美奈子 様

届けたい、音楽を愛する人へ

「音楽を愛する方に生の音楽を聴いてもらいたい」という強い思いから「音楽再復興宣言!」と銘打ち、石川県立音楽堂を本拠地とするオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)は、去年7月下旬のコンサートを皮切りに活動を再開しました。今プロジェクトでは平原綾香さんなどプロの歌手や演奏家を招き、県内8公演を実施することができました。

中でもOEKとは18年の年末以来の共演で、金沢を創作活動の拠点の1つにしている龍玄としさん(TOSHlさん)は、2月に「運命」と題するコンサートに加え、自身の絵画作品展を同時に開催しました。予定していた高校生との合唱コラボは感染症対策基準に合わなく見送りに、さらに1月の緊急事態宣言の再発出でコンサート自体を中止することも当然考えました。それでもTOSHlさんが「たとえ少人数でもいいので、ぜひ生の声を届けたい、作品を見せたい」と強い気持ちと覚悟も持って実施に踏み切り、結果的にホール(全1,500席)の基準50%すべて席が埋まり大成功を収めました。お客さんからは「ぜひ続編をやってほしい」という熱い声をいただき、TOSHlさんも「今後も引き続き金沢でコンサートや絵画展を開催していきたい」と意欲を語ってくれました。 

生の音楽を続けること、聴く機会を閉ざさないことこそ、みなさんの大きな励になると信じ、今後も活動していこうと思います。

取材協力

JAPN LIVE YELL project 石川
音楽再復興宣言 Music RENASSANCE 総括責任者
岩﨑 巌 様

生で開かれた演劇空間を。

昨年12月に公演した『月夜のファウスト』は、まつもと市民芸術館芸術監督の串田和美が独りで企画し、SNSでの発信が話題を呼んだ一人芝居です。

劇場で公演のできなかった緊急事態宣言後の6月に、密を避け公園のあずまやで身体ひとつで芝居に挑んだ後、このプロジェクトにおいて、普段から市民に開放している同芸術館のロビー空間「シアターパーク」での公演に至りました。

北九州と伊丹での県外公演は、自前の服や小道具とスタッフ4名だけで遠征。どちらも初めて訪れる劇場でしたが想像以上の反響がありました。串田は「見てくれるお客様がいる限り、自分は舞台をやりたい。つくることで自分もお客様も元気になる!」と熱く語っていました。プリミティブな人と人との関りが減少し、演劇の形が変わってしまうことに危機感を持っていたからこそ、生の演劇空間の共有にこだわり、批判も覚悟で行動したのだと感じます。

地方では感染者が少なくても、東京で芸術活動が自粛されていると、作品を呼ぶことができません。地方で芝居を創る者として、この逆境が、劇場独自のレパートリー作品の重要性を再認識する機会になりました。思えば今は、仕事の大半が創造することよりもコロナ対策の日々。これを機に原点に立ち返って、「どのように演劇を楽しんでもらえるか」を考えることに早く注力していきたいです。

取材協力

まつもと市民芸術館 プロデューサー
小川 知子 様

その模索が、文化芸術の将来をつくる

企画に当たっては、愛知県内の芸術文化を横断的に広くカバーすることや、地域・ジャンル・職種の拡がりを意識しました。県内の劇場のネットワークを活かし、クラシック音楽から、能・狂言、演劇、コンテンポラリー・ダンスに至るまで、多くの団体や関連事業者の参画が実現しました。

当初は、相次ぐ公演のキャンセルや延期で、関係者には沈痛なムードが覆っていましたが、このプロジェクトによって、良い意味で強制的に前進したように思います。県内すべてのプロオーケストラが参画した演奏会「あいちオーケストラフェスティバル」では、接触を減らし、来場者を管理するため、電子チケットを導入。劇場ロビーに設けたログイン専用スペースでは、操作に慣れないお客さまも新しい取組みについてこようと頑張ってくださいました。それだけ皆さまが芸術を求めているんだと、胸に迫るものがありました。終演後にお客さまが目に涙を浮かべて感謝を伝えてくれることも多く、その度にスタッフももらい泣きしてしまいました。

劇場関係者、アーティストたちの意識にも変化が見られ、コロナ禍の困難な状況が続く中でも奮起。感染者が再び増加した2020年末からの第3波の際も、「前回と同じようにやればいいよね」と工夫を重ねました。県内に20年以上前からある緩やかなネットワークが「コロナ禍からの回復」というテーマのもと、新しいプラットフォームに進化しつつあると感じています。

取材協力

愛知県芸術劇場
企画制作部長代理 兼 広報・マーケティンググループ チーフマネージャー
林 健次郎 様

新しい屋外空間で、街に生まれた笑顔

お客さんの安全、安心のため、まずは屋外において公演活動を再開していこうと考え、ロームシアター京都の中庭にステージを設けて、地元出身で「くるり」の岸田繁さんの音楽映像制作やトークなど、3週間にわたり数多くの芸術イベントを提供することができました。「バラバラの庭」と命名したこのスペースは、個性豊かなアーティストが集まるという意味に加え、距離を保ってバラバラに配置された客席空間も敢えて楽しむという仕掛け。植物や巨大なオブジェに囲まれる中で、ピクニック気分で芸術に触れられる1つの空間作品にも仕上がりました。

立地的にも市民の憩いの場である岡崎公園と隣接しているため「なんかやってるぞ」とお客さんも自然と集まり、人形劇や影絵と音楽の幻想的なパフォーマンス、市内のミニシアターがセレクトした映画上映会などは、子どもたちにもとても喜んでもらえました。感染症対策も試行錯誤の繰り返しでしたが、やはり心配の種は天気でした。雨でも中止にはしたくなかったので、屋内バージョンもプログラムごとに準備することは大変でした。それでも、期間中にいろんな人のアイデアでステージ空間が進化していったり、雨の後、「バラバラの庭」の復旧を行うスタッフに交じり、見にきてくれた子どもたちがはりきって手伝ってくれたのが嬉しかったです。オープンスペースで文化芸術を展開するという取り組みは、いろんな可能性や広がりがあるんだなと改めて感じました。

取材協力

ロームシアター京都 事業担当
小倉 由佳子 様

まちを舞台に文化と元気を。

『ハルまちフェスティバル』は、今こそエンターテイメントの力で元気を届けたいと、表現の場を失くしていたプロ・アマ総勢400名の想いを結集し、大阪の街を舞台に展開しました。常に意識していたのは、「この状況を逆手に取り何ができるか」ということ。オンラインの活用や若いお客様への訴求という同じ問題を抱えていた上方落語と文楽の企画では、映像コンテンツを作るだけでなく、それぞれのお客様を繋げる仕掛けを作りました。発表の場が欲しい学生吹奏楽部は、盛り上がりが欲しい道頓堀の街と繋げ、道頓堀川に船を浮かべての吹奏楽演奏会を決行。劇場ミュージカルは密を避けるために屋外へ移し、お客様はヘッドフォンをつけて、パフォーマンスを観ながら天王寺公園を巡る“イマーシブシアター”に組み替えました。発想を転換しながら街や表現者を元気にしていく挑戦に、今後の展開が楽しみです。

『奥河内音絵巻』は河内長野市で6回目となる市民参加型の企画。今年は、南北朝時代から続く2つのお寺を舞台に、山門を入った瞬間から物語に入り込む体験型のエンタメを目指し、同市出身のアーティスト・サキタハヂメさんが音楽と切り絵の空間演出を構想しました。「市民が親しんできたお寺で新しい体験をしてもらおう!」と、大阪の音楽家を集めたバンド、子供達による和太鼓やミュージカル、声明など、総勢約100人による録音やライブの音楽を境内のスポットごとに展開。酒井敦美さんの景観に溶け込むような切り絵の投影とそれぞれの音楽が融合する幻想的な空間が現れました。緊急事態宣言で金剛寺では中止になりましたが、観心寺では市民の想いが集う特別な“お祭り”になりました。

取材協力

ハルまちフェスティバル 制作
さくら こりん 様

取材協力

NPO法人SEIN
SEINコミュニティLabo 所長
宝楽 陸寛 様

教育に、観光に、演劇の力を

「但馬プロジェクト」は、地元の子どもたちに生の芸術を届け続けることが大きな目的でした。もともとこの但馬地域の3市2町では、小中学校の授業に演劇教育を導入していることもあり、自治体や学校、保護者との信頼の蓄積があります。豊岡市は特に熱心で、長年の実績から、子どもたちの表現力が増すなど演劇の教育効果が高いと実感されている先生も多いです。一斉休校が明けて、豊岡市はアートとスポーツで学校の楽しさを取り戻すという方針を示し、すぐに演劇プログラムを再開することができました。

一度目の緊急事態宣言中に、知育と関連づけた新作劇を書き下ろしていました。まずはそれを携えて希望する保育園などを訪問。他にも、劇団が学校を回って上演する小学生向けの鑑賞プログラムや劇場での本格公演、また小学4年生から中学生向けには、4日間にわたる演劇表現プログラムで、深く体験できる機会も提供できました。当プロジェクトや市の補正予算などの支援により、通年でエリアを3周くらい回ることができ、子どもたちからは「また来てくれたの?!」と嬉しい反応も。延期された企画も多く、3月は2日に1回は学校などを訪問していて大変ですが、切れ目なくアートを届けることができたのは何よりです。

4月からは演劇やダンスが学べる県立の芸術文化観光専門職大学が開校します。演劇が、子どもたちの成長のみならず、観光にも好影響をもたらすことを、数年にわたり地域の人々と共有してきました。地域と演劇が一体となった町づくりを加速させていきたいですね。

取材協力

兵庫県但馬地域総括
平田 オリザ 様

多彩な企画で新たな創造性に触れる

音楽や多様な伝統芸能を結集させ、北から南まで県内全域に渡って展開。4事業を統括した事務局の宮田仁志さんは「県民の皆さんが芸能文化に飢えており、需要の高さをひしひしと痛感しました」と振り返ります。

寺院等で開催された「奥大和ユニークべニューコンサート」では、多いときには200人もの観覧者が集まり、寒空の下でもお客さんが途絶えることはありませんでした。また、観覧者が公募された「パフォーマンスステージ」でも、募集期間が短いにもかかわらず、約1,300名の応募がありました。

「パフォーマンスステージ」では、全盲の少年ドラマーのパフォーマンスや、奈良県立ろう学校演劇部による芝居も披露されました。奈良県は、全国障害者芸術・文化祭と国民文化祭を初めて一体的に開催した地。今回のプロジェクトでもその魂を受け継ぎ、障害者、健常者ともに、新たな創造性にあふれる企画を実現しました。

プロジェクトを通じて「たくさんの収穫があった」と話す宮田さん。「動画での配信は、初めて本格的に取り組みました。今後、動画配信は不可欠になるので、この場を通して学ばせてもらいました」。奈良県民が、音楽や芸術文化をオンラインで楽しめる環境づくりへの第一歩を踏み出すことになりました。

取材協力

ジャパン・ライブエール・プロジェクト奈良実行委員会事務局員
(奈良県 文化・教育・くらし創造部 文化振興課)
宮田 仁志 様

地域の潜在力を大発見

目指したのは、景勝地や歴史遺産としての魅力溢れる和歌山の自然や文化を活かした美しいコンテンツの制作でした。結果、世界的クリエーターによる和歌山城の空間演出、地域の自然や名所を収録したサウンドスケープと映像、そして地元の子供達からプロの表現者までが参加するパフォーマンスが融合した演劇「火具鎚のうた」をつくりました。

和歌山で暮らす子供たちや表現者と、都市部で活躍する一流のアーティストが交流できる機会になることも意識しました。制作においても、演出やレーザー・映像・照明などは東京チームでしたが、一部の音響や舞台美術などは地元の企業に協力を仰ぎ、表方も裏方も、都市と地元の人が共創することで新しい価値創出を生みたいと思いました。これが、予想を超える嬉しい発見につながりました。地元で活動するダンサーや役者の方は、すごくレベルが高いなと驚きましたし、たとえば舞台美術は、東京の企業からは出てこないようなアイデアが提案され、東京では実現できないクオリティを出していただき、感動しました。

都市と地方の表現者が本気で一丸となって取り組むこと。これが地方創生の一つのカギになると確信しました。私たち東京の企業は、地域で何かを創るにしても、東京から出演者やスタッフを連れていきがちです。でも今回のような機会があれば、これからは「和歌山ならあの会社にお願いすれば大丈夫」と地元の方の顔が浮かびます。地域の方にとっても、都市部の文化に触れることが刺激になるし、芸術で生きることを志す勇気になるかも知れません。今回の企画を通して、参加した全ての方の希望に繋がればと願っています。

取材協力

「火具鎚のうた」原案・クリエイティヴディレクション
中前 省吾 様

潤いが、広がっていく

「コロナでもそれなりに上手く生活できていると思っていたけど、久しぶりに生の音楽を聴いた瞬間、心が乾いていたことに気づきました。」終演後のアンケートにそう書いてくださったお客様がいらっしゃいました。「水がしみ込むように、心が潤っていくのを感じた」と。

私たちの鳥の劇場は演劇を中心とした団体ですが、演劇は総合芸術なので、いろんな分野の方とつながりがあります。今回は鳥取らしいオリジナルな作品を届けようと地元に縁のある音楽から考え、米子の「合唱」、倉吉の「クラシック」、鳥取の「ジャズ」と演劇を組み合わせた『音楽×演劇』の3企画を12月に公演しました。

鳥取県は感染者が少なかったため、逆に私たちの活動で感染者を出したら大変なことになると、張り詰めた緊張の中で準備を進めました。全関係者に対して2週間前からの行動履歴と体温の提出を義務付け、県外関係者は全員PCR検査。生活圏が島根県にもかかる米子市の関係者については、鳥取県とも対策方法を確認するなど、とにかく大変でした。

それでも、ようやくたどり着いた本番の日の客席で、お客様が本当にうれしそうな表情をしていたことが目に焼き付いています。私たちスタッフも、ずっと外との交流が断たれた中で、ただライブ配信だけやるのは、どんどん枯れていくように感じていました。今回、県内外のいろんなジャンルの方との交流が実現して、お客様に届けることができて、1年間の苦しみから解放された思いです。

取材協力

特定非営利活動法人鳥の劇場
松本 智彦 様

伝統芸能を次世代へつなぐ機会に

島根県内で継承されている伝統芸能の魅力を見つめ直し、新たな可能性を探るイベントが「しまね伝統芸能祭」です。島根県西部で脈々と受け継がれる石見神楽と、コンテンポラリーダンスのコラボレーション「SHOKI -鍾馗-」をはじめ、伝統芸能団体と他ジャンルとの共作によるバラエティに富んだ創作舞台や、県内外の伝統芸能団体交流公演が県内5会場で上演されました。

島根県民会館の山崎晋志さんは「伝統芸能には高齢の方が多いので、新型コロナウイルスの影響により活動自体を休止している団体が多くありました。伝統芸能は、次の世代に継承することが大きな課題。活動再開のきっかけになる発表の場を作れたことは大きな一歩でした」と話します。

もともと2019年度から構想されていたこの企画は、県内と県外の伝統芸能団体を繋げ、お互いの良いところや工夫などを情報交換できる機会を創ることも目的としていました。島根は伝統芸能が盛んですが、地元の人は見慣れているため、何が素晴らしいか気づきにくい側面もあるからです。

今回、県外からアーティストや芸能団体を迎えることに不安の声も上がりましたが、PCR検査を行い、楽屋を分け接触を避けるなど感染拡大防止も徹底しました。山崎さんは「今回は団体同士が交流できる機会は限られてしまいましたが、お互いの上演を見ていろんな発見をしてもらえました。今後さらに交流や発信の支援をしていきたいです」と今後への新たな可能性を見出していました。

取材協力

島根エリア企画責任者
島根県民会館 文化事業課長
山崎 晋志 様

いくつもの困難を乗り越え、最高の舞台へ

世界を舞台に活躍する指揮者下野竜也氏と広島ウインドオーケストラ団員による、中・高生を対象とした音楽教育プログラム「ジュニアウインドオーケストラ広島」。できるだけ多くの子供たちが参加できるように、馴染み深い吹奏楽を通して無償で音楽を学ぶ企画として、広島市・(公財)広島市文化財団との共催により2019年度からスタートしました。

しかし初年度の終盤からコロナが直撃。2020年度の受講生への指導は、その大半をリモートに切り替えざるを得ませんでした。手探りで指導用の動画を撮り、受講生はそれを見ながら自分で考え、懸命に練習を重ねてくれました。ところが目標としていた演奏会が二度も延期という事態に。何が何でも子供たちをステージに立たせてあげたいと、計画変更や対策を重ね、ようやく2月に公演開催にこぎつけました。

ほとんど合同練習なしに集まった前日のリハーサルから、本番に至る子供たちの成長はすごかったです。時間は限られていて、要点のみを確認していくプロとのリハーサルの中で、集中力を発揮。ついに迎えた広島ピースメモリアルフェスティバル2020「ファイナルコンサート」は、音楽が好きという気持ちが伝わってくる、誰もが楽しめる素晴らしいコンサートになったと思います。

受講生は、将来どんな道を進んでもいい。演奏技術や舞台上の所作だけでなく、総合的に音楽を学ぶこの体験を通して、いろんな形でこの先もずっと音楽に触れる人生を歩んでほしいと願っています。

取材協力

広島ウインドオーケストラ 総括プロデューサー
荻原 忠浩 様

挑戦の先に、自信が生まれた本物の舞台

コロナ禍でいったい何ができるのか? 私たちは今回のプロジェクト「愛媛・ミュージカル祭『Smileフェス』」に向け、稽古から密を作らない市民ミュージカルをゼロから創り、舞台経験を問わず出演者を小学生からシニアまで募るという、いばらの道にあえて挑戦することにしました。

一般募集メンバー22人と地元劇団みかん一座20人とプロ1人で構成された出演者に、まずは歌、踊り、芝居の見本動画を配りました。各自オンライン稽古と団体ごとの練習で下地を作り、最後に全体稽古で各パートをつなぎ合わせました。驚いたのは子どもたちの熱意と習得力です。中には1人で20曲近くも担当するメンバーもいましたが、最初の合わせ稽古までにほぼ完璧に覚えてきました。オンラインという大きなハードルを越えてきてくれたのは嬉しかったし、この形でもある程度のことはできるんだと、新たな発見でした。

約3カ月間、限られた回数でしたが厳しい稽古にも耐え、仕上げた1月の本番。お客さんたちも久々の舞台鑑賞の上、新しい演出のせいもあってか序盤の反応は戸惑いを感じさせる拍手で不安になりました。しかし集中力の高い出演者の熱演に次第に引き込まれ、最後は気持ちが込められた、弾けるような拍手で会場が包まれました。出演した子どもたちの単なる自己満足ではない、完成度の高い作品を届けることができたという自信と満足感のある表情を見て、コロナ禍に負けず挑戦をやり切れて本当に良かったと実感しています。

取材協力

坊っちゃん劇場
中村 茂昭 様

土佐の国で、伝統と前衛が共鳴する

「9月にプロジェクトが決定してから、立ち止まる余裕もなかった」と浜口眞吾さんはこの数か月を振り返ります。「コロナの感染はいつどこで起こるかわからない。公演実施のため、いろんな努力をして準備を積み重ねても、突然、公演が中止になるかもしれないという不安が常にあった」と苦しかった気持ちを話してくれました。

不安定な社会状況の中でも、高知ではいろどり豊かな企画が次々と打ち出され、16ものイベントが実現されました。サーカス、地域芸能、クラシック音楽や演劇から、VR(ヴァーチャルリアリティー)ゴーグルによる体験型アートや、ラテックス製スーツをまとったパフォーマンスなど、前衛的、実験的なプロジェクトもめじろ押し。浜口さんは「高知は太平洋に向かって開かれた県。新しい取り組みが好きな土地柄です」と県民性を語ります。

意欲的な公演の一つが、日本の前衛芸術にインスパイアされた『青山実験工房 高知公演』でした。高知県立美術館の能楽堂を舞台に、伝統芸能である能と、前衛音楽や映像演出が共鳴する世界が出現。若い人にも能舞台に親しんでもらう目的もあったとのことです。「お客様は初めての曲にもじっくりと聞き入り、新しい表現に触れて驚きと喜びを感じている様子でした。終演後には『こんな時だからこそ、古典と前衛の取り合わせといった挑戦を、よくぞやってくれた』といったコメントもありました」と、浜口さんは今年度の大きなチャレンジの手ごたえを語ります。

取材協力

高知県立美術館 企画事業課 課長補佐
浜口 眞吾 様

ジャンルを超えて、いま踊る喜びを

「閉塞的な今だからこそ、できるだけ多くの人が関われる、新しいことをしよう」。社交ダンス、サルサ、アルゼンチンタンゴ…。世界のペアダンスを集めた異彩のイベント「福岡ペアダンスフェスティバル」は、そんな発想から生まれました。

実はペアダンス界は横のつながりがほとんどありません。伝手をたどって様々なジャンルのダンサーに声をかけましたが、家族が医療従事者だからとか、仕事で県外に出る機会が多いといった理由で断念する人もいて、度重なる出演者の変更に苦労しました。一方で、新聞広告からの反響が予想以上に大きく、本番1週間前にも「うちの先生も出してもらえませんか」といった生徒さんからの問い合わせが5件もありました。

男女の情熱を表現するすべてのペアダンスは「密」が大前提です。コロナ禍で半年以上踊る場がなかった人がほとんどだったと思います。ダンスが好きな人は、空気を身体で感じ取るのに長けた人が多い。ようやくこぎ着けた本番は、ダンスを踊れることもそうですが、踊る空気に触れられる、そのことへの喜びにあふれていました。久しぶりに踊って、また意欲が湧いてきたといった声も。初心者のためのダンスタイムも設け、評判は上々でした。「次はいつやると!?」といろんな人から言われています。

垣根を超え、ペアダンスでつながった新しい仲間たち。これからいろんな可能性がまだまだいっぱいありそうです。

取材協力

福岡ペアダンスフェスティバル実行委員長
ダンススタジオM 社交ダンスインストラクター
福島 優一 様

ライブへの熱意が、作り上げた感動

長崎といえばオペラ「蝶々夫人」。主人公(蝶々さん)の生まれ故郷とされる大村市に拠点を置くプロオーケストラの長崎OMURA室内合奏団(NOCE)が中心となり、コンサート「響け!長崎のウタ オーケストラといっしょに蝶々夫人名曲集&長崎のウタ」を県内3会場で開催しました。中にはオケ40名とアマチュア合唱団80名が集う、感染症対策としてハードルの高い演目もありました。東京の日本オーケストラ連盟からの最新情報を常に確認し、練習やリハーサルでは換気や立ち位置の間隔など確認を繰り返し大変でしたが、無事に実施することができました。長崎ではあまり演奏機会のないオーケストラと共演できた合唱団の皆さん、特に子どもたちがすごく喜んでくれました。

また、合間を縫っては県内30カ所以上の学校や地域センターに出向いて演奏会を行いました。クライマックスで「鬼滅の刃」を奏でると、子どもたちは大興奮。手拍子だけでなく、元気に歌い盛り上げてくれました。演奏したメンバーも「目の前で音楽を楽しむ姿を見られて本当に励みになった」と感動していました。

大都市圏では合唱を含む様々な芸術活動が再開する中で、「我々はプロなんだ。最新の対策をもって、何が何でもやり遂げる」という強い気持ちで臨み、ここ長崎でも失われていた生の演奏を取り戻すことができました。このプロジェクトをきっかけに地域密着の活動の場をもっともっと広げていこうと思います。

取材協力

長崎OMURA室内合奏団 事務局長
藤崎 澄雄 様

エールを込めて、中高生に発表の場を

2016年の大地震、2020年の豪雨、コロナウイルスと、相次ぐ災害に見舞われてしまった熊本県。しかし「未来へのエール」をテーマに、県内の高校生を元気づけるべく「熊本復興文化祭」を開催、7部門に17の高校が参加しました。主催者であるテレビ熊本の本松昌祐さんは「当初は1、2年生の参加を想定していましたが、ふたを開けてみると、受験シーズンにも拘らず3年生の参加がどんどん増えていきました。彼らにとっては高校最後の年の、最初で最後の発表の場。あらためて『披露の場を作る』ことの意義を認識しました」と言います。

本番では、人気アイドルグループのメンバーとの合唱というサプライズも。「2校の限定参加でしたが、その日に向けて練習に励んでもらいました。高校生活の思い出として刻んでもらえれば…」と本松さんは話します。

18歳以下のバンドを対象とした「むしゃんよかバンド決定戦」は、2019年に完成した熊本城ホールで予選、決勝戦を開催。できたてホヤホヤのホールで演奏できることは、中高校生のやる気に火をつけました。

これらの、主催者の枠を跳び越えた自由度のあるイベントは大きな反響も呼びました。「イベントには企業色が出るものですが、今回は純粋に高校生のためと考えて企画したことに尽きます」(本松さん)。エールを受けた高校生たちの未来が今から楽しみです。

取材協力

熊本地域統括
本松 昌祐 様

晴れ渡る野外劇場に、子供たちの歓声

舞台の奥には阿蘇五岳を望み、客席から振り返ると、くじゅう連山が広がります。阿蘇くじゅう国立公園に2020年の夏に完成した野外劇場「TAOの丘」には、和太鼓の音と子供たちの歓声が響き渡りました。

「ライブ・フェスティバルin OITA」の一環として、標高1,000mの野外劇場に招待された児童、生徒は約1,000名。3カ月間16回に分けられた招待公演を企画した是永幹夫さんは「コロナ禍で子供たちは芸術文化に触れる機会が減り、フラストレーションが溜まっています。その子供たちに元気をプレゼントしたいと考えました」と企画の意図を話しています。

もともと「そうぞう県おおいた」を掲げるほど大分県は芸術に理解が深く、文化を大切にする風土が残る地域。ライブ・フェスティバルとしても全体で20のイベントを行い、コロナ禍で喘ぐ文化芸術を様々な分野でサポートしました。是永さんも「今後も大人、子供も含めサポートの恩恵を受ける形を増やしていきたい」と話しています。

久住の草原で和太鼓を聞いた小学生は「コロナでどこへも行けなかったのでとても嬉しかったし、元気がでました」と感想を残しました。未来ある子供のために、文化へのサポートが大切なことは、この言葉が表しています。

取材協力

大分の地域総括・地域制作主体者
是永 幹夫 様

「公演」を通して、成長が加速する

「みやざきバレエまつり」には6人のプロダンサーを招き、県内のダンサー、オーディションで選ばれたジュニアダンサーとの共演を果たしました。演目の一つ「マーシャの夢─くるみ割り人形版─」は、本公演のために作られたオリジナルバレエです。演出・振付を担当した福成里美さんは「発表会ではない『公演』はジュニアダンサーにとっても初めて。少しずつ顔つきが変わっていき、大切に踊ろうという心の成長が見えました」と振り返ります。

リフトのコンビネーションや、複数で行うフォーメーションなど、バレエの振り付けはオンラインでは難しく、顔を合わせての稽古を行いました。「あらかじめ考えていた振り付けを踊ってもらい、ダンサーの手足の長さや踊りのバランスを確認しながら、その場でどんどん変えていきました。彼女たちがより美しく見えるように…」と福成さんは話します。

本番中にメインキャストのダンサーの1人がケガに見舞われるハプニングが発生し、急きょ構成の変更を余儀なくされました。「ケガは残念でしたが、子どもたちは肝が据わっていて、本番はとても素晴らしい舞台となりました。私自身の経験値もぐっと上がりましたし、大抵のことは怖くなくなりました」(福成さん)。福成さんは今回の経験を活かし、これからも宮崎の夢見るバレエダンサーたちへ情熱を注いでいきます。

取材協力

「マーシャの夢-くるみ割り人形版-」の演出・振付
Satomi Ballet Classic 代表
福成 里美 様

その日、那覇の街は劇場になった

2021年度、那覇市では新しい劇場「那覇文化芸術劇場 なはーと」がオープンします。今年度はそれに向かって様々な盛り上がりを作る予定でしたが、状況は一変しました。この状況下で、市内のアーティストを支援しながら、市民に舞台芸術や劇場への興味を持ってもらうには何ができるだろう。そう考え取り組んだのが映像作品「ロミジュリ!〜那覇の街を走り出す〜」を作ることでした。

パフォーマンスの舞台は那覇の街全体。市民の生活の場である市場や、政治の中心である那覇市議会議場などで、県内の演奏家やバレエダンサー、琉球舞踊家が、沖縄版「ロミオとジュリエット」を表現するものです。

円形劇場のような議場でのパフォーマンスは、初めての試み。撮影前日の深夜まで議会が開かれていたり物を動かせないなど、様々なハードルがありましたが、議員の皆さんにも見てもらえ、魅力的な空間での上演は大きな反響がありました。また市場ではストリートライブのような形にして、そこで働く人や訪れている人々が、ふと足を止めてくれました。普段クラシック音楽を聴くことはないという、たまたま居合わせたおばあさん が、思いがけず生の演奏に触れて、「いいもんだね、次はチケットを買って聴きに行くさ」とおっしゃったことが心に残っています。

外に行かないと出会えないお客様もたくさんいると気づきました。今年10月末から新劇場が動き出します。市民と一緒に作り上げる劇場に、いろんな広がりや可能性を感じています。

取材協力

那覇文化芸術劇場 なはーと 開館準備グループ 制作担当
平岡 あみ 様

PROJECTの軌跡

時系列で見る
JAPAN LIVE YELL project

08

2020 AUG

自粛をがんばってきた子供たちへ。
シンボルイベント「こころの音楽会」を開催。

2020年夏、JAPAN LIVE YELL projectのスタートにあたり、第一線で活躍する音楽家たちが「子どもたちに音楽を届けよう」と思いを寄せ、コロナ感染症対策に万全を期して、特別な演奏会を開催しました。

休校や自宅での長い生活を抜けて子どもたちの「輝き」のある「新しい日常」を創るために。自粛期間で演奏の機会に恵まれなかった音楽家と子どもたちが出会い、かけがえのない時間を共に分かち合うために。

本格的なコンサートホールも、かしこまった衣裳もない、小さなあたたかいコンサート。コロナ感染拡大対策のため、当初予定していた小学校から、会場を急遽変更することとなりましたが、多くの親子連れが、生の音楽に触れるため足を運んでくださいました。 また、午後には屋外に会場を移し、偶然訪れていた方々も、ヒグラシの鳴き声に包まれた演奏に耳を傾けていました。

「あのコンサートで、社会に対して僕のやるべき事、本当の意味での僕の生きる理由を見つける事が出来た気がします。」(チェロ 山本裕康さん) コロナ禍では皆それぞれに残念な思いや辛い気持ちを抱えていますが、音楽家たちが演奏に寄せる熱い思い、それを心待ちにしていた来場者の方々の声をぜひお聞きください。

※公演の一部を特別公開いたします。
https://youtu.be/nkEsK_nOpkw

2020年8月11日
静岡総合健康センターホールおよび三島スカイウォーク (静岡県三島市)

【出演者】
下野 竜也(指揮/進行)
矢部 達哉(ヴァイオリン)
戸上 眞里(ヴァイオリン)
水谷 晃(ヴァイオリン)
篠﨑 友美(ヴィオラ)
山本 裕康(チェロ)
高橋 敦(トランペット)
横山 幸雄(ピアノ)
清水 華澄(メゾソプラノ)

【プログラム】
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークより
サン=サーンス:白鳥
ショパン:英雄ポロネーズ
アンダーソン:トランペット吹きの子守唄
杉本竜一:ビリーブ
ロッシーニ:歌劇『ウィリアム・テル』より「スイス軍の行進」
ほか

映像制作:株式会社イメージサイエンス
プロデューサー:大須賀喜彦
ディレクター:中島大樹

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MOVIE

  • ダイジェストムービー

  • 出演者インタビュー

  • お客様インタビュー

09

2020 SEP

全国でプロジェクト始動。
関係者が一丸となって、再びライブを届けます!

全国27都道府県で、少しずつライブが再開しました。芸術家やスタッフは、どこからどうやって始めたらよいのか、まだまだ悩んでいた時期です。このプロジェクトをきっかけに地域の文化芸術関係者が結集し、重く沈んでいた気持ちから、徐々に前に向くことができました。皆で感染症対策を研究し、注意深く稽古を重ね、体調管理を徹底し、舞台上や客席での感染対策を何度も見直し、万全を期してお客様を迎えました。
各地域のチャレンジと喜びを、ぜひ 27地域からの声でご覧ください。

11

2020 NOV

松任谷由実さんの「エール・アンバサダー」就任記者発表!
応援ムービー「ライブのリレー」も公開し、
「みんなの応援村」との連携も発表!

2020年11月24日(火)に記者発表会を開催しました。「JAPAN LIVE YELL project」の取り組みを広く知っていただき、そのメッセージをさらに全国に拡げていくため、シンガーソングライターである松任谷由実さんの「エール・アンバサダー」就任を発表。あわせて、松任谷さんの名曲「春よ、来い」に乗せてエールを紡ぐ応援ムービー「ライブのリレー」を公開しました。

松任谷さんは、デビュー以来ずっと第一線で活躍され、ご自身のライブパフォーマンスは音楽だけでなく、演劇、アート、クラシック、マジック、サーカスなどジャンルを超えた舞台芸術も積極的に取り入れ、多くの人々を魅了してこられました。いま改めて、舞台芸術の魅力、ライブの力、そしてそれを支える表現者やスタッフのかけがえのない存在を肌身で感じているとお話しされます。その想いから、今回当プロジェクトのエール・アンバサダーをお引き受けいただき、幅広いジャンルのライブ関係者へエールを届けていただきます。

記者発表会では、「JAPAN LIVE YELL project」の主催である文化庁矢野和彦次長のご挨拶に始まり、同じく主催である公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会より事業説明、および能楽師(人間国宝)でもある野村萬会長よりご挨拶いたしました。

続いて、日本全国のライブ関係者に向けた応援ムービー「ライブのリレー」がお披露目されました。松任谷さんの名曲「春よ、来い」を、音楽・演劇・ダンス・伝統芸能など、さまざまな舞台芸術のパフォーマンスが繋ぎ、松任谷さんご自身も出演されています。その後、松任谷さんにご登壇いただき、「エール・アンバサダー」就任にあたっての想いなどを語っていただきました。

さらに、松任谷さんが応援団員として活躍する「みんなの応援村」について、実行委員長である浜松鈴木康友市長からの紹介があり、「JAPAN LIVE YELL project」との今後の連携が発表されました。

松任谷さんが贈るエールの言葉、ぜひ動画で受け取ってください。

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MOVIE

  • 11月24日 記者発表会ダイジェスト

  • エール・アンバサダー 松任谷由実さんの
    メッセージ

03

2021 MAR

松任谷由実さんと贈る。
オンライン番組「THE ハレ舞台」公開!

2021年3月28日、エール・アンバサダー松任谷由実さんと一緒にエールを贈るオンライン番組「THE ハレ舞台」を公開しました。「JAPAN LIVE YELL project」で展開された各地の取組みと人々の想いを紹介し、スタッフにも光を当てた、これまでにない切り口。「みんなの応援村」とのタイアップのもと、松任谷正隆さん、小山薫堂さん、中井美穂さんも一緒に、ライブに携わる全国の芸術家、スタッフ、アマチュア、そして子供たちに大きなエールを贈ります! 番組では高校生の圧巻のパフォーマンス、くまモンのキレキレダンス、そして松任谷由実さんのスペシャルライブも。ぜひご覧ください。

THE ハレ舞台 THE ハレ舞台を見る

03

2021 MAR

全国の取組みが終了!
喜びや未来への希望が、ぞくぞく届きました。

昨年9月からスタートした全国の取組みは、およそ200企画、延べ500本以上のイベントが実施されました。年末からの感染拡大に伴い、多くの公演が中止や延期となったり、無観客に切り替えて動画配信という形を取らざるを得なくなりました。感染対策だけでなく、再びお客様に楽しんでもらうため、たくさんの工夫と努力を重ねていたからこそ、「残念だ」「不完全燃焼…」という声も聞こえます。

それでも、実現できたライブの方が圧倒的に多いです。このプロジェクトで得られたもの。それは、ライブ関係者の仕事の場、子供たちの表現の場、withコロナ時代にライブを創る経験、人々の連帯、地域の文化資源の発見、表現する側の勇気、受け取る側の感動…。まだまだたくさんあります。一つ一つの企画に、一人ひとりの想いがこもっています。27地域からの声を、ぜひご覧ください!